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税理士試験

【税理士試験】財務諸表論の合格に必要な勉強時間は1000時間

税理士 坂根 崇真

18歳で日商簿記1級、21歳で税理士試験に3年5科目合格した税理士。一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役。著書「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本(出版社:秀和システム)」Yahoo!ブックスランキング1位、Amazonランキング2位。

悩んでいる人
日商簿記1級に合格したから財務諸表論を受験します。どれぐらい勉強したらいいんでしょうか?

財務諸表論の合格に必要な勉強時間の目安は600時間~1,000時間です。

ただ、日商簿記1級に合格しているのであれば、600時間程あれば財務諸表論に十分合格できると思います。

この記事では、財務諸表論の難易度等について税理士の坂根が解説します。

ポイント

  • 財務諸表論は簿記1級の延長線であり、苦労しない人がほとんど
  • 合格率が30%近い年もあり、税理士試験のなかではかなり難易度が低い
  • 簿記1級を勉強していない場合は難易度がかなり高く感じる可能性アリ
  • 独学で合格できないこともないが、テキストと問題集を買うだけで数万円かかる
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関連記事:【税理士試験】格安通信講座スタディングの評判を21歳5科目合格税理士が解説

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税理士試験の財務諸表論はどのような試験?

税理士試験には11科目あり、そのうちの1つに「財務諸表論」があります。

財務諸表論の特徴は次の通りです。

ポイント

  • 受験必須科目のため、必ず受験しないといけない
  • 財務諸表作成能力や企業会計原則などを覚える必要あり
  • 出題範囲:会計に関する知識や財務諸表の作成能力が問われる
  • 合格率は13~30%、概ね15%

財務諸表論は受験必須科目

税理士試験は11科目中5科目に合格する選択制の試験となっていますが、財務諸表論は受験必須科目となっています。

そのため、税理士試験に最終合格(官報合格)するためには、財務諸表論は必ず受験しなければなりません。

財務諸表作成能力や企業会計原則などを覚える必要あり

財務諸表論では、企業会計原則や財務諸表等規則などの会計に関する知識や、財務諸表の作成能力が問われます。

そのため、日商簿記検定1級の延長線にあると考える方が多いです。  

逆に言えば、日商簿記1級に合格していれば財務諸表論は勉強時間を多く割かなくても合格を目指すことができます。

出題範囲:会計に関する知識や財務諸表の作成能力が問われる

財務諸表論の出題範囲は国税庁ホームページに次の通り公表されています。 

「会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則」

つまり、会計に関する知識や財務諸表の作成能力が問われます。

「税理士試験は簿記検定の延長」と考える方も多いですが、税理士試験で純粋に会計の知識が必要となるのは簿記論と財務諸表論だけです。

財務諸表論の合格率は13~30%、概ね15%

令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)

図:国税庁 令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)

財務諸表論の合格率は上図の上から2番目にあり、令和元年度の合格率が18.9%、平成30年度合格率が13.4%です。

財務諸表論の過去の合格率推移

財務諸表論の合格率
70回 (2020)令和2年度 19.0%
69回(2019)令和元年度 18.9%
68回(2018)平成30年度 13.4%
67回(2017)平成29年度 29.6%
66回(2016)平成28年度 15.3%
65回(2015)平成27年度 15.6%
64回(2014)平成26年度 18.4%
63回(2013)平成25年度 22.4%
62回(2012)平成24年度 20.7%
61回(2011)平成23年度 16.6%
60回(2010)平成22年度 13.1%
59回(2009)平成21年度 16.0%

財務諸表論の合格率は、毎年15%程度と考えてよいでしょう。

ただし、年度によって合格率は大幅に変わります。

平成29年度税理士試験では財務諸表論の合格率は驚異の29.6%ですし、平成24年度、25年度も20%を超えています。

さすがに30%近い合格率になる年は珍しいですが、他の科目と比べると圧倒的に合格率が高い科目となっています。 

最も合格しやすい科目ですので、一発で終わらせましょう。

財務諸表論の配点は?

財務諸表論の配点は理論50点、計算50点の計100点満点問題です。 このうち60点以上をとることができれば合格です。

ただ、税理士試験は基本的に100点が現実的でなく、60点~80点ぐらいをいかにとるかが課題になっています。

60点をとればいいんだ、楽勝!というわけではなく、上位15%程度に入らないと合格できないというわけです。

しかし、他の試験科目だと、どれだけ勉強しても1つ2つのケアレスミスが命取りになりますが、財務諸表論の場合は結構間違えても合格できます。

記念受験する人も多く、受験生のレベルが高くないからです。もちろん、合格率は15%程度と高いわけではありませんので、日商簿記1級に合格していても勉強時間ゼロとかだと合格できません。

簿記論と財務諸表論の違いは?

悩んでいる人
簿記論と財務諸表論はほぼ同じと聞いたんですが、どのような違いがあるのでしょうか?

簿記論と財務諸表論の違いは主に次の2つです。

ポイント

  • 理論問題があるか
  • 仕訳能力が問われるか、財務諸表作成能力が問われるか

理論問題があるか

財務諸表論と簿記論は試験範囲が似通っていますが、主な違いは「理論問題」があるか無いかです。 財務諸表論は会社計算規則や企業会計の諸基準について問われるため、暗記が求められる試験になっています。

仕訳能力が問われるか、財務諸表作成能力が問われるか

簿記論は計算問題のみですので、用語の暗記は求められません。その分、計算問題は簿記論の方が若干むずかしく作られています。

そして、簿記論は仕訳作成能力が求められ、財務諸表論では財務諸表、つまり貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)の作成能力について、簿記論より高いレベルが求められます。

試験科目 計算問題 理論問題
簿記論 むずかしい(仕訳処理を重視) なし
財務諸表論 かんたん(財務諸表を重視) あり

関連記事:【税理士試験】簿記論合格に必要な勉強時間など3年5科目税理士が解説

財務諸表論の難易度は?

財務諸表論の難易度は、税理士試験の中では低いです。

先ほど紹介したように、合格率は30%近かった年もありますし、20%程度になる年もあります。これは他の科目と比べると高い合格率です。

また、日商簿記1級に合格しているのであれば、そこまでの勉強量を要さず合格できる試験です。

ただ、簡単かと言われればそうではありません。 簿記検定1級を突破せずに税理士試験の受験資格を獲得している場合は、きちんと勉強しなければ合格は難しいでしょう。

ちなみに、税理士試験では、試験後に大原などの専門学校が解答速報を配っています。

その解答速報には以下の2つの基準が設けられていますので、自己採点し、合格できそうかどうかの目安にすることができます。

ポイント

  • ボーダーライン
    (この点数以上をとれたなら合格できる可能性がある。専門学校基準の配点で60点ぐらい)
  • 合格確実ライン
    (この点数以上をとれたなら確実に合格できると考えられる。専門学校基準の配点で80点ぐらい)

ふつう、税理士試験の科目では合格確実ラインを超えることは現実的ではありません。

ただ、財務諸表論は難易度がそこまで高くありませんので、私は、財務諸表論の合格確実ラインを超えていました。

言いたいことは、きちんと勉強していれば確実に合格できる難易度だということです。  

受験生の声

財務諸表論は無勉強では合格できませんが、日商簿記1級に合格できる人なら簡単な試験です。1発合格を目指しましょう。

財務諸表論の受験者層は?

財務諸表論の受験者層は、他の税理士試験科目に比べるとレベルは高くありません。

財務諸表論の受験者数は他の科目より圧倒的に多く、簿記論の次ぐらいに多いです。

先ほどの図によると9,268人ですが、 日商簿記1級の第156回(2020.11.15)試験の受験者数が10,078名であることを考えると、同じぐらいの数の方が受験していることがわかります。

税理士試験の登竜門として受験する方、記念受験する方も多いので、税理士試験の他の科目に比べると受験者のレベルは高くありません。

財務諸表論の勉強時間の目安は?

財務諸表論の合格に必要な勉強時間は、600時間~1,000時間ほど見ておきましょう。

財務諸表論の合格に必要な勉強時間の目安は、大原は400時間、TACは450時間と公表しています。

ちなみにこの勉強時間は理論の暗記時間は含まれていません。また、この目安はどれも甘めに作られていますので、1.5~2倍ほど見積もっておけば良いでしょう。

もちろん、日商簿記1級の受験経験が無い場合はより多くの勉強時間が必要になる可能性があります。知識ゼロからでも1,000時間あれば十分だと思いますが、自身の習熟度合いに照らし合わせてください。

これから税理士試験の勉強を開始する方は下記の記事もご覧ください。他の科目の勉強時間なども公開しています。

関連記事:税理士試験に21歳で短期5科目合格した勉強方法や勉強時間を大公開

財務諸表論と簿記論は同時に受験すべき?

悩んでいる人
財務諸表論と簿記論は同時に受験すべきでしょうか?

同時に受験することをおすすめします。

財務諸表論と簿記論は試験範囲が被っています。

財務諸表論は計算と理論が50点ずつの試験となっていますが、計算問題は簿記論と試験範囲が大きく被っています。

計算問題の難易度は簿記論と比べればむずかしいですが、正直大差ありません。

財務諸表論は独学で合格可能?

財務諸表論は独学で合格できないことは無いと思います。 ただ、効率は悪いですし、1年間もモチベーションが続きませんので予備校を活用することをお勧めします。

格安通信講座のスタディングであれば、簿記論+財務諸表論のセットで約6万円と格安です。テキストに問題集に講義に模擬試験までついていて、大原やTACの6分の1の価格で勉強を始められます。

お金が無いけど勉強したい方は格安通信講座スタディングで合格を目指しましょう。

関連記事:【税理士試験】格安通信講座スタディングの評判を21歳5科目合格税理士が解説

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税理士試験に落ちないために知っておくべきこと

「税理士試験の合格が21歳なんて早い!羨ましい!」そう思う方もいるでしょう。

下記のnoteは、2年で5科目合格を目指したものの、残念ながら法人税法に不合格になった経験(=3年で5科目合格となった経験)から、税理士試験に落ちないために知っておくべきことを本音で語っています。

本音を言えば無料で公開してもよいのですが、 専門学校に対する批判なども含んでおり、あまり公にしたくない内容となっています。

そのため、税理士試験に合格したいと本気で思っている方限定で有料公開することとしました。

本気で一発合格を目指す方は下記の記事をご覧ください。税理士試験に合格するための秘訣がわかります。

1年に1回しかない税理士試験、本気で合格したい方は今すぐ読んで税理士試験に一発合格してください。

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関連記事:高卒でも21歳5科目合格できた税理士試験の完全マニュアル【非常識合格法】

税理士 坂根 崇真

18歳で日商簿記1級、21歳で税理士試験に3年5科目合格した税理士。一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役。著書「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本(出版社:秀和システム)」Yahoo!ブックスランキング1位、Amazonランキング2位。

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  • この記事を書いた人

税理士 坂根 崇真

18歳で日商簿記1級、21歳で税理士試験に3年5科目合格した税理士。一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役。著書「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本(出版社:秀和システム)」Yahoo!ブックスランキング1位、Amazonランキング2位。

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