所得税法の受験は仕事に役立ちます。
税理士試験を受験するのであれば、所得税法の受験は良いでしょう。ただ、所得税法か法人税法で迷っているなら法人税法をお勧めします。法人税法を勉強しないと税理士事務所でまともに働けないからです。
この記事では、21歳5科目合格した税理士の坂根が解説します。
ポイント
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税理士試験の所得税法とは?
税理士試験には11科目あり、そのうちの1つとして「所得税法」の科目があります。
所得税ってどういう税金?
所得税は、個人が1暦年間に獲得した所得に対して課される国税です。
つまり、1/1~12/31に手に入れた儲けについて支払う税金です。
所得税はサラリーマンを除き、税務署が勝手に計算してくれるものではありませんので、個人事業主などの納税者は自身で計算しなければなりません。
所得税でいう「儲け」はその性質によって課税される金額が異なり、次の10種類に区分する必要があります。
所得区分 | どんな儲け? |
利子所得 | 利息収入 |
配当所得 | 配当金収入 |
不動産所得 | 賃貸不動産(アパートなど)から得られる賃料収入 |
事業所得 | 事業から得られる儲け |
給与所得 | サラリーマンなどの給与収入 |
退職所得 | サラリーマンなどが受け取る退職金 |
譲渡所得 | 不動産などを売却したときの儲け |
山林所得 | 山林の伐採や売却をした場合の儲け |
一時所得 | 生命保険金の一時金など |
雑所得 | 上記以外 |
これら10種類のどれに該当するかということや、簿記で学んだ収益費用と異なる概念もあるため、所得税法の受験では、それらについて学びます。
所得税法の出題範囲は?
所得税法の出題範囲は国税庁ホームページに次の通り公表されています。
「当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。」
所得税法、所得税法施行令、所得税法施行規則だけでなく、租税特別措置法、国税通則法 なども出題範囲に含まれており、勉強しなければならない範囲は非常に多いです。
所得税法の理論問題
所得税法の理論問題では、「所得税法の理解」が求められています。
所得税法では、所得の種類を10種類に区分したり、配偶者控除や基礎控除といった所得控除など膨大な量の規定があります。
これらがどのような場合に適用されるのかや、実際の事例に当てはめてどうなるのかが求められます。
所得税法の計算問題
所得税法の計算問題では、事例を基に、個人の所得税額を算定します。
所得税法上、上記の10種類の所得があり、収入がどの所得区分に当てはまるか理解しているかや、住宅ローン減税の適用対象になるのか、譲渡した不動産について譲渡所得の特例が使えるのか、長期譲渡所得に該当するのか短期譲渡所得に該当するのかといった、実際に仕事を行う際、きちんと所得税の納税額を算定できる能力を求められます。
所得税法の合格率は?
図:国税庁 令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)
所得税法は、上から3つ目にあり、令和元年度の合格率が12.8%、平成30年度合格率が12.3%です。
所得税法の過去の合格率推移
所得税法の合格率 | |
---|---|
70回 (2020)令和2年度 | 12.0% |
69回(2019)令和元年度 | 12.8% |
68回(2018)平成30年度 | 12.3% |
67回(2017)平成29年度 | 13.0% |
66回(2016)平成28年度 | 13.4% |
65回(2015)平成27年度 | 13.2% |
64回(2014)平成26年度 | 13.2% |
63回(2013)平成25年度 | 14.8% |
62回(2012)平成24年度 | 12.3% |
61回(2011)平成23年度 | 13.4% |
60回(2010)平成22年度 | 14.3% |
59回(2009)平成21年度 | 13.4% |
所得税法の合格率は安定しており、毎年12%~14%程度で推移しています。
以前は所得税法の方が合格率が高い傾向にありましたが、近年の税理士試験においては逆転しており、法人税法より若干合格率が低めになっています。
下記の記事に各科目の合格率を載せていますので、比較したい方は参考にご覧ください。
関連記事:【難易度】税理士試験の合格率は10%!大学在学中に合格可能?税理士が解説
所得税法の難易度は?
所得税法の難易度は、税理士試験の中では最上級レベルです。
所得税法は理論50点、計算50点で100点満点の試験となっています。
表向きは60点で合格となっていますが、これは「6割とればいいなら楽勝」と言うわけではありません。
合格率がたったの12%
先程説明したように合格率は12%程度しかありません。
理論問題では所得税法の条文を理解していないと記述できず、予備校に通えば「暗記は必須」と教わります。昔は暗記したものをそのまま書き写すという時代もあったようですが、現在の税理士試験では、単純に暗記するだけではなく、事例に対して取り扱いを適切に回答する能力も求められています。理論は記述式の問題であり、法人税法と並ぶ最上級レベルのむずかしさです。
出題範囲が広すぎる
所得税法の試験では、「所得税法」そのものが単純にボリュームが多すぎます。税理士であっても条文をすべて読んだことがある人はほとんどいないでしょう。
もちろん所得税法に限らず、所得税法施行令、所得税法施行規則、租税特別措置法や国税通則法といった関連法令も出題範囲に含まれていますから、そのすべてをカバーすることは現実的ではありません。
試験時間が足りない
所得税法の試験は2時間の試験時間で解ききるのがむずかしい問題量です。酒税法などのミニ税法では時間内にすべて解き切ることが求められるようですが、所得税法は2時間ですべてを解ける人はほとんどいません。
その少ない試験時間のなかで、いかに合格できる答案を作成できるかといった問題があるため所得税法の試験は難易度が高いです。
なお、なかなか合格できない方は下記の記事をご覧ください。税理士試験に一発合格するための秘訣をご紹介しています。
関連記事:高卒でも21歳5科目合格できた税理士試験の完全マニュアル【非常識合格法】
所得税法の受験者層は?
所得税法の受験者層は、税理士試験の中では高めです。
簿記論、財務諸表論を突破しているのは当たり前、加えて、他の税法科目を1、2個合格している方が多いです。
また、法人税法を合格している方もそれなりの数、受験していますし、最後の受験科目として選ぶ人も多く、何年も所得税法でくすぶっている方もいます。
そのため、所得税法の受験者レベルは税理士試験の中では高いです。
所得税法の受験者数は令和元年度は1,659人です。 これは、法人税法の4,260人の半分以下の人数です。
所得税法と法人税法で迷ったら法人税法を受験する方が多いですが、そのように、法人税法を選択科目としてとりあえず選択される方もいますが、所得税法はそうではありません。
受験者のレベルがかなり高いです。
関連記事:税理士試験の法人税法の難易度は?3年で5科目合格した税理士が解説
所得税法の勉強時間の目安は?
所得税法の合格に必要な勉強時間は、1,500時間以上見ておきましょう。
所得税法の合格に必要な勉強時間の目安は、大原やTACは600時間と公表しています。
ただ、これは理論暗記の時間が含まれていません。また、所得税法の試験範囲は広いので、理論だけでも計算と同じだけの勉強量は必要でしょう。 そうすると、単純に600時間×2で1,200時間は最低でも必要です。
また、計算に要する時間ももっと多く見ておいた方が良いでしょう。
そうすると、2倍の1,200時間でギリギリ合格可能性があるレベルで、1,500時間は勉強した方が良いかと思います。 これは決して盛っているわけではなく、所得税法は税法科目の中で最も勉強ボリュームが多い部類の科目です。
法人税法のボリュームには劣りますが、消費税法の3倍、相続税法の2倍ぐらいのボリュームがあります。きちんと勉強しないと合格できません。
これから勉強を開始する方は下記の記事をご覧ください。所得税法を含め、他の科目の合格に必要な勉強時間など公開しています。
関連記事:税理士試験に21歳で短期5科目合格した勉強方法や勉強時間を大公開
所得税法の受験をお勧めする3つの理由
所得税法の受験をお勧めする理由を3つご紹介します。
実務で必須、仕事で役に立つ
所得税法の受験は実務(仕事)にも役立ちます。ほとんどの事務所では個人事業主のお客さんがいるからです。
個人事業主などは年1回、所得税の申告をしなければなりませんので、法人のお客さんしかいない等の特殊な事務所でない限り、仕事で絶対に使います(法人のお客さんだけであっても、源泉所得税などの話があるのでどこかで所得税の話は出てきます)。
また、相続税の仕事に携わる場合においても所得税は関連して必要な知識です。
そのため、所得税の勉強は仕事で役に立ちます。
法人税法と考え方が似ているため、少ない時間で理解できる
法人税法と所得税法は、同じく利益に対して課税される税金です。
その主体が法人(会社)か個人かの違いです。そのため、基本的な考え方は概ね似ています。
法人税法に合格している方であれば、所得税法の理解はすすみやすいです。
住民税の学習にも役立つ
受験はおすすめしませんが、所得税法の受験は住民税の学習にも役立ちます。
住民税も所得税法と同様に個人の所得に対して課される税金ですが、その基となる所得は所得税法から来ているため、勉強する内容がすこし重なっています。
そのため、所得税法を勉強する場合、住民税の理解にも役立ちます。
所得税法と法人税法どちらがおすすめ?
所得税法は仕事で必須の知識ですので、受験しておいて損はありません。
ただし、所得税法と法人税法、どちらか1個しか受けないのであれば法人税法の受験をお勧めします。
関連記事:税理士試験の法人税法の難易度は?3年で5科目合格した税理士が解説
所得税法の受験は実務とどう違う?
どの試験科目においても言えることですが、試験と実務は別物です。
ただ、別物と言っても基礎は大事です。
根本的な部分がわかっておらず、小手先の勉強だけしていてはシロウトの方と変わりません。 最近では自動記帳してくれるシステムなどありますが、精度はもちろん、所得税のことは全く考えられていません。
そして、ダメなところをダメとわかるためには根本から理解しないといけません。 そのため、税理士になるのであれば所得税法の知識は必須です。
わたしは所得税法の受験はしていません(法人税法、相続税法、消費税法を受験したため)が、受験最後の年から合格発表日までの間に、予備校に通って基礎的な知識を身に着けました。
予備校に通う必要は別に無いと思いますが、どこかで一通り勉強する必要はあります。
関連記事:【税理士試験】消費税法の難易度や勉強時間は?半年1発合格税理士が解説
所得税法は独学で合格可能?
所得税法は独学での合格は厳しいです。
効率が良くないため、金銭的に苦しい場合は通信講座スタディングで勉強を開始するのが良いでしょう。
テキストに講義はもちろん、模擬試験までついて数万円。大原やTACの6分の1の価格で勉強を開始できます。
関連記事:【税理士試験】格安通信講座スタディングの評判を21歳5科目合格税理士が解説
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大原やTACの6分の1で勉強を始められる、通信講座専門の「スタディング」。
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税理士試験に落ちないために知っておくべきこと
「税理士試験の合格が21歳なんて早い!羨ましい!」そう思う方もいるでしょう。
このnoteは、2年で5科目合格を目指したものの、残念ながら法人税法に不合格になった経験(=3年で5科目合格となった経験)から、税理士試験に落ちないために知っておくべきことを本音で語っています。
本音を言えば無料で公開してもよいのですが、 専門学校に対する批判なども含んでおり、あまり公にしたくない内容となっています。
そのため、税理士試験に合格したいと本気で思っている方限定で有料公開することとしました。
本気で一発合格を目指す方は下記の記事をご覧ください。税理士試験に合格するための秘訣がわかります。
1年に1回しかない税理士試験、本気で合格したい方は今すぐ読んで税理士試験に一発合格してください。
\一発合格したい方限定!/