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税理士試験の事業税はオススメしない!3年5科目合格した税理士が解説

税理士試験の事業税の受験を考えたことはありますか?

たぶん、受験を考えたことがある人は少ないと思います。なぜなら、事業税の受験者数は全科目の中で最も少ないからです(令和元年度税理士試験の場合)。

事業税を受験するという選択肢は無しではありませんが、「どうせ勉強するなら他の科目を学びましょう。」というのが結論です。

この記事では、21歳で5科目合格した税理士の坂根が税理士試験の事業税の受験について解説します。

ポイント

  • 事業税=地方税法の一部であり、試験範囲は広くない
  • 事業税は仕事で使う知識だが、優先順位が低い
  • 合格率は他の試験科目と比べて低め
  • 事業税よりオススメの受験科目は消費税法、相続税法

>>税理士試験に落ちないために知っておくべきこと

税理士試験の事業税はどういう試験?

税理士試験には11科目あり、そのうちの1つとして「事業税」の科目があります。

事業税ってどういう税金?

事業税は、事業をしている人にかかる税金です。個人事業主や会社(法人)の儲けに応じて課税されます。

事業税について「事業税法」という法律はなく、地方税法に規定があります。

そのため、税理士試験の事業税の試験では、地方税法のうち、事業税部分について学びます。

事業税の出題範囲は?

事業税の出題範囲は国税庁ホームページに次の通り公表されています。

「当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。」

地方税法、地方税法施行令、地方税法施行規則だけでなく、地方税法総則なども出題範囲に含まれており、勉強しなければならない範囲は多いです。

ただ、事業税は地方税法の一部ですから、他の税法科目と比べると出題範囲は狭いです

事業税の合格率は?

図:国税庁 令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)

事業税は下から3行目にあり、令和元年度の合格率が14.8%、平成30年度合格率が11.0%です。  

事業税の過去の合格率推移

事業税の合格率
70回 (2020)令和2年度 13.1%
69回(2019)令和元年度 14.8%
68回(2018)平成30年度 11.0%
67回(2017)平成29年度 11.9%
66回(2016)平成28年度 12.9%
65回(2015)平成27年度 13.6%
64回(2014)平成26年度 13.5%
63回(2013)平成25年度 12.0%
62回(2012)平成24年度 9.9%
61回(2011)平成23年度 17.1%
60回(2010)平成22年度 11.9%
59回(2009)平成21年度 13.8%

事業税の合格率は概ね11%~13%ぐらいで推移していますが、合格率が9.9%の年度もあるので、たまにブレがあります。また、他の試験科目と比べて合格率は低めであり、油断はできません。

事業税の難易度は?

事業税の難易度は、税理士試験の中では中レベルです。

事業税は理論50点、計算50点で100点満点の試験となっています。

以前は理論70点、計算30点でしたが、近年、点数配分が変わりました。

試験当日になって慌てないよう、点数配分が変わる場合があること、そして、試験当日は必ず理論と計算の点数配分を確認しましょう。

なお、表向きは60点で合格となっていますが、これは「6割とればいいなら楽勝」と言うわけではありません。

先程説明したように合格率は11%~13%程度しかありません。

基本的にはとれるところを全部とらないと合格できないでしょう。

わたしは事業税の受験経験はありませんが、事業税を受験している友人は、やはりそれなりに勉強時間を確保していました。

また、「税理士試験に落ちないために知っておくべきこと」で、税理士試験を1発合格するために知っておいていただきたいことをご紹介していますので、こちらの記事もぜひご覧ください。

>>税理士試験に落ちないために知っておくべきこと

事業税の受験者層は?

事業税の受験者層は、税理士試験のなかでは中の上程度です。

簿記論、財務諸表論の合格は基本的に済んでいる方ばかりであり、法人税法などボリュームが大きい科目を合格している人も受験しています。

ただし、試験範囲が狭いからという理由で半端な気持ちで受験する人もいます。 そのため、事業税の受験者レベルは税法科目のなかでは中の上程度です。  

事業税の勉強時間の目安は?

事業税の合格に必要な勉強時間は、400~600時間程度見ておきましょう。

税理士試験の5科目合格に必要な勉強時間の目安を税理士が解説」で解説している通り、事業税の合格に必要な勉強時間の目安は、大原は190時間、TACは200時間と公表しています。

ただ、これは理論暗記の時間が含まれていませんので、最低でも2倍の400時間は見ておきましょう。 また、事業税の試験範囲は狭いため、満遍なく勉強しておくことはもちろん、ケアレスミスが許されません。

そのため、知識をより強固なものにするために、600時間程度必要と考えておくと良いでしょう。

以下の記事で、他の科目の合格に必要な勉強時間など公開していますので、税理士試験の受験をされている方はご覧ください。

>>税理士試験の5科目合格に必要な勉強時間の目安を税理士が解説

事業税の受験をお勧めしない4つの理由

事業税の受験をお勧めしない理由は主に次の4つです

    • 実務で勉強できる
    • 受験者数が少なすぎる(=合格人数が少なすぎる)
    • 出題範囲が狭い
    • 合格した後も心残りになることがある

実務で勉強できる

事業税は実務で勉強できます。

わたしもそうですが、税理士になった方の内、税理士試験で事業税を受けなかった人がほとんどです。

法人の場合、事業税は法人税の申告とセットで行いますが、そのベースとなるのは法人税の知識です。

法人税を勉強しておけば、あとは仕事で事業税を十分学べるかと思います。

外形標準課税や収入割など、事業税独特の考え方もありますが、これは大企業だったり、特殊な事業を行っている会社でないと携わることがありません(私はどちらも経験あります)。

税理士になれば学ばなければならないことは山ほどありますので、もしぶち当たったら、そのときに勉強するというのでも良いかと思います。

それよりは、まずは仕事で必須な消費税法や所得税法を受験した方がよほど身になるでしょう。

 

受験者数が少なすぎる(=合格人数が少なすぎる)

事業税の令和元年度税理士試験の受験者数は392人と全科目の中で最も少なく、合格者数も最も少ない58人です。

全国探して1年間で58人ですよ?あまりにも少ないです。

 

出題範囲が狭い

事業税の出題範囲は、地方税法の一部ですので狭いです。

つまり、受験生同士であまり差がつかないということです。

しっかり勉強し、ミスを一切起こさないよう、きちんと勉強しないといけません。もし落としたら次の受験は来年です。

それよりは、2、3個程度であればミスが許される、ボリュームが大きい科目を選んだ方が良いと思います。

11回も受験はきつすぎですね。

合格した後も心残りになることがある

事業税は出題範囲が狭く、また、仕事でめちゃくちゃ役に立つ、というわけではありません。

ミニ税法を受験した人は、「相続税法」「法人税法」「所得税法」など、ボリュームの大きい科目を、きちんと理解できるよう受験で勉強しておけば良かったと後悔する方もいます。

もし逃げの一手として事業税の受験を考えているのであれば、何のために税理士になりたいのかを今一度考えてみると良いでしょう。

事業税を受験で学んでおいて得することはある?

悩んでいる人
事業税を受験で学んでおいて得することはありますか?

あります。わたしは税理士試験で事業税を学んでいないため、仕事をしながら学びましたが、事業税特有の論点というのも、数多くあります。

法人事業税は基本的に、法人税計算上の課税所得と連動して計算されるため、法人税を理解していれば事業税特有の論点というのはさほどありません。

しかし、事業税には次のような特殊論点があります。

外形標準課税とは

外形標準課税とは、資本金が1億円を超える場合に、給料や家賃の金額など、利益以外を基準にして税金が課税される事業税の仕組みです。

世の中の99%の会社は中小企業のため、税理士として働く中で、資本金が1億円を超える法人に出会ったことが無いという方も多いです。これは、大きな税理士法人に勤めている方でも同様です。

しかし、四大税理士法人に勤めたい場合、ほとんどのクライアントは資本金が1億円を超え、外形標準課税の対象になっています。また、小さな税理士事務所でも、資本金が1億円を超える法人を担当する可能性は当然あります(ベテランの方が担当するケースが多いと思いますが)。

その時に、1から勉強するのは結構しんどいです。時間があって試験で学んでおけるなら、学んでおくと良いでしょう。

外形標準課税について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:資本金1億円を超えるデメリット(外形標準課税など):税理士が解説

収入割課税とは

収入割課税とは、生命保険事業や電気供給業などを営んでいる法人に課税される事業税の仕組みです。

これらの法人については、利益ベースで事業税を課税すると税金をあまりとれないケースがあるため、収入金額ベースで事業税を課税する仕組みをとっています。

これも同じく、税理士の中でも担当したことが無い方が多いです。

私は保険業や電気供給業の申告を経験したことがありますし、自身の会社でも太陽光発電設備を保有しているため収入割が課税されるのでわかりますが、他の事業を行っている法人と比べると申告が特殊なため、手間がかかります。

試験を受けるうえで、ある程度学んでおくと仕事に役立つときがくるかもしれません。

とはいえ、やはり消費税法や相続税法の方が重要度が断然たかいです。事業税の受験を選択することはあまりおすすめできません。

税理士試験の事業税は独学で合格可能?

悩んでいる人
事業税だったら、独学でも合格できるんじゃないかな。どうなんでしょうか?

事業税は、独学での合格はできるかもしれません。

しかし、事業税を独学で受験すると、次の危険性があります。

ポイント

  • もし予備校の模擬試験と似た問題が出題された場合、自分ひとりだけ見たことも無い問題のため不合格まっしぐら
  • ミスが許されない、1つでもミスしたらもう1年勉強
  • 市販のテキストは予備校が出しているものでも1グレード落とされているため、他の受験生に勝てない。
  • 税法は毎年改正されるため、市販のテキストだと法改正の反映が間に合わない

独学は効率が良くありませんし、1発で合格できなかったらまた1年後に受験というのは最悪です。必ず合格するために、予備校を活用することをお勧めします。

最低でも、通信講座を活用してください。最近では大手の6分の1の価格、数万円から通える格安通信講座「スタディング」もあります。

テキストを買いそろえるだけでも同じぐらいの金額はかかるので、それだったらこちらを活用しましょう。

【税理士試験】スタディングの評判は最悪?21歳5科目合格税理士が解説

オススメの科目選択は?

悩んでいる人
仕事で役に立つ科目を受験したいんですが、事業税って、どうなんでしょうか?

事業税は仕事で使います。ただし、重要性としては法人税法や所得税法、消費税法や相続税法より低いです。

事業税を受験するぐらいであれば、消費税法や相続税法を受験することをおすすめします。

以下の記事で、わたしが実際に選んだ科目などご紹介していますので参考にしてみてください。

>>【税理士試験】おすすめの科目選択について税理士が解説  

税理士試験に落ちないために知っておくべきこと

「税理士試験の合格が21歳なんて早い!羨ましい!」そう思う方もいるでしょう。

このnoteは、2年で5科目合格を目指したものの、残念ながら法人税法に不合格になった経験(=3年で5科目合格となった経験)から、税理士試験に落ちないために知っておくべきことを本音で語っています。

本音を言えば無料で公開してもよいのですが、 専門学校に対する批判なども含んでおり、あまり公にしたくない内容と なっています。

そのため、税理士試験に合格したいと本気で思っている方限定で有料公開することとしました。

本気で一発合格を目指す方だけ、こちらをクリックしてご覧いただければ、税理士試験に合格するための秘訣がわかります。

1年に1回しかない税理士試験、本気で合格したい方はぜひ今すぐご覧ください

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税理士 坂根 崇真

18歳で日商簿記1級、21歳で税理士試験に3年5科目合格した税理士。一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事、その他 株式会社の代表取締役。著書「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本(出版社:秀和システム)」Yahoo!ブックスランキング1位、Amazonランキング2位。中の人は複数人で運営しています。

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