税理士試験

【税理士試験】相続税法の難易度や勉強時間を1発合格した税理士が解説

悩んでいる人
相続税法を勉強したいけど、難易度や合格にどのぐらい勉強時間が必要か知りたいです

相続税法の難易度は、税理士試験のなかでは中の上です。また、合格に必要な勉強時間は、1,000時間ほど見ておきましょう。

この記事では、相続税法に1発合格し、21歳で3年5科目合格した税理士の坂根が解説します。

ポイント

  • 相続税法の受験生はレベルが高く、2科目3科目持っている人がほとんど
  • 4科目順調にとったあと、相続税法で5年ぐらい受からず悩む人もいる
  • 相続税法の合格に必要な勉強時間の目安は1,000時間
  • 相続税法の合格率は、毎年10%~13%程度
  • 他の税理士試験科目と範囲が一切かぶらないため、みんなゼロからのスタート。つまり初学者にとって有利な科目。

最近はテキストに問題集、講義に模擬試験までついて数万円スタディングなど格安通信講座があります。以下の記事で、税理士試験の予備校を比較解説しています。今の予備校で受からない場合、環境を変える参考にしてください。

関連記事:税理士試験の予備校(専門学校)を比較!通信講座で合格可能?

税理士試験の相続税法はどんな試験?

税理士試験には11科目あり、そのうちの1つとして「相続税法」の科目があります。

特徴としては次の通りです。

ポイント

  • 相続税法では「相続税」と「贈与税」を学ぶ
  • 相続税、贈与税は財産をもらった人に課税される税金
  • 相続税法の合格率は、毎年10%~13%程度
  • 相続税法は他の税理士試験の科目と一切被らないので初学者にチャンスあり

相続税法では「相続税」と「贈与税」を学ぶ

相続税法では、「相続税」と「贈与税」について学びます。

悩んでいる人
相続税法なのに贈与税についても勉強するの?

その通りです。

なぜなら、贈与税法という法律がなく、相続税法の中に決まりがあるからです。

相続税、贈与税は財産をもらった人に課税される税金

相続税、贈与税は次の通り、財産をもらった人に課税される税金です。

  • 相続税:身内の方が亡くなった際、その財産を相続した人が納める税金
  • 贈与税:ご両親や祖父母など、他の方からお金など財産をもらった場合、その財産をもらった人が納める税金

亡くなったときに相続で財産をもらえば相続税が、生前に贈与で財産をもらえば贈与税がかかります。

細かく言えば違う点はいくつもありますが、極端に言えば、贈与税がかかるか相続税がかかるかは、「いつ財産をもらったかのタイミングの違い」でしかないため、贈与税も「相続税法」の範囲に含まれています。

相続税法の難易度は高い

相続税法の難易度は高いです。

相続税法は理論50点、計算50点で100点満点の試験となっています。

表向きは60点で合格となっていますが、実際にはこの60点のハードルが高いです。合格率が11.7%しかないことからわかる通り、60点をとれるのが11.7%しかいない問題および配点になっています

試験時間は2時間ですが、基本的に2時間で解ききれる問題量ではなく、また、相続税法は理論、計算ともに記述式の問題が多くあります。

A~Dの中で正解を選べという択一式試験ではなく、記述式試験ですので、自分の頭で考えて答えを書く必要があり、周りの受験生と比較されます。

相続税法に合格するためには、解ける問題はすべてミスなく解くレベル(ケアレスミスが2、3個許容されるイメージ)でないと合格は厳しいです。

ちなみに教科書が計算テキスト4冊、理論テキストが1冊の計5冊あります(資格の大原の場合)。また、教科書の厚さは消費税法のおよそ2倍あり、覚えなければならないことが膨大にあります。

相続税法の受験者層は3科目4科目合格している人が多い

相続税法の受験者層は、税理士試験に3科目4科目合格している人が多いです。

相続税法の受験者数は令和元年度は2,897人ですが、これは、法人税法の4,260人や消費税法の7,451人と比べると非常に少ない人数です。

そして、相続税法を受験する人は、簿記論や財務諸表論だけでなく、消費税法など他の税法科目も受験経験があるケースが多いです。

法人税法ほど受験者のレベルは高くないと思いますが、相続税法の受験者層はレベルが高いです。

しっかり勉強しないと合格できません。

相続税法の出題範囲は広いので、きちんと勉強しないと合格できない

相続税法の出題範囲は国税庁ホームページに次の通り公表されています。

「当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。」

  • 相続税法
  • 相続税法施行令
  • 相続税法施行規則
  • 租税特別措置法
  • 国税通則法 など

感覚的には消費税法2つ分~3つ分ぐらいのボリュームがあります。

出題範囲は広いですが、きちんと勉強しなければ合格できません。最低限、教科書に載っていることはマスターする必要があります。

相続税法の条文は非常に覚えにくいのは確かですが、受験生のレベルは高いので、全部マスターしておきましょう。

特に、頑張って覚えるのと、諦めて一部に絞るのでは、試験当日に余裕を持てるかどうかが変わります。自分が解けなければ他の人には解けないという確信を持つことができれば、焦らずにケアレスミスをすることなく合格することができます。

ヤマカンで勉強して1年無駄にするほどアホらしいことはありません。やれることはやりきって試験にのぞみましょう。

相続税法の合格率は毎年10%~13%程度

図:国税庁 令和元年度(第69回)税理士試験結果表(科目別)

相続税法は、上から5つ目にあり、令和元年度の合格率が11.7%、平成30年度合格率が11.8%です。

相続税法の過去の合格率推移

相続税法の合格率
70回 (2020)令和2年度 10.6%
69回(2019)令和元年度 11.7%
68回(2018)平成30年度 11.8%
67回(2017)平成29年度 12.1%
66回(2016)平成28年度 12.5%
65回(2015)平成27年度 13.4%
64回(2014)平成26年度 12.9%
63回(2013)平成25年度 11.7%
62回(2012)平成24年度 12.8%
61回(2011)平成23年度 11.6%
60回(2010)平成22年度 13.9%
59回(2009)平成21年度 14.7%

相続税法の合格率は、毎年10%~13%程度で安定しています。

消費税法と同じぐらいの合格率です。

簿記論や財務諸表論と異なり、20%や30%の合格率になる年度もあるという甘い試験ではありません。

落ちる人は本当に落ち続ける試験科目であり、わたしの知り合いでも、法人税法を含む4科目は4年ほどでスムーズにとれたものの、最後に相続税法1科目を残し、相続税法を5回受験した方もいます。

しっかり勉強しないと合格できない科目なので、気を抜いてはいけません。

相続税法の勉強時間の目安は1,000時間

相続税法の合格に必要な勉強時間は、1,000時間ほど見ておきましょう。

相続税法の合格に必要な勉強時間の目安は、大原は520時間、TACは450時間と公表しています(詳細:税理士試験の5科目合格に必要な勉強時間の目安を税理士が解説)。

ただ、この520時間や450時間の中には理論暗記の時間が含まれていません。

また、計算に要する時間も受験生を増やすために少なく見積もられています。

そのため、1,000時間は勉強が必要だと考えておきましょう。

平日3時間、土日5時間を10か月続ければ合格できます((3時間×5日+5時間×2日)×4週間×10か月=1,000時間)。

働いている方であっても、本気でやればこの勉強時間は捻出できると思いますので、1年で1発合格しましょう。

なお、以下の記事で他の科目の勉強時間も公開していますので、税理士試験の受験をされる方は、以下の記事もご覧ください。

>>税理士試験の5科目合格に必要な勉強時間の目安を税理士が解説

相続税法の受験をお勧めする3つの理由

相続税法の受験は、主に次の3つの理由からお勧めです。

ポイント

  • 簿記、会計の知識がまったくいらないので初学者でも戦える
  • 実務で使える
  • 試験範囲のボリュームが所得税ほど多くない

簿記、会計の知識がまったくいらないので初学者でも戦える

相続税法は、簿記、会計の知識がまったくいりません。

法人税や消費税は会社や個人事業主にかかる税金であり、その基礎として簿記や会計の知識が必要です。

しかし、相続税や贈与税は、個人の財産にかかる税金です。つまり、簿記や会計とは全く関わりがないため簿記・会計の知識が必要ありません。

非上場株式の評価など、一部会計の知識が全くいらないと言えばウソになりますが、相続税法を受験するうえでは、今まで簿記論、財務諸表論、日商簿記であまり良い成績でなかった人でもトップを目指せるチャンスがあります。

みんなゼロからのスタートなので、ちゃんと勉強すれば上位で合格することができます。

実務で使える

相続税法の受験は実務(仕事)にも役立ちます。

なぜなら、相続は、だれにでも起こるからです。

個人の所得税申告や法人の申告をメインに行っていても、贈与や相続の話しはどこかで絡んできます。

法人税の知識だけではだめですし、所得税の知識だけでもだめです。相続税法の知識は税理士にとって必要です。

相続税法を受験し、仕事で使う知識を学びましょう。

ポイント

相続税法の知識が役立つ場面の一例

  • 中小企業の顧問先の社長が引退する→株式の相続税評価の知識などが最低限必要
  • 相続税申告、贈与税申告の仕事を行うことになった→相続税法の試験で学ぶ知識はすべて必要(実際は、それだけだと全く足りないですけどね)

試験範囲のボリュームが所得税ほど多くない

税理士試験の科目選択で相続税法と所得税法どちらを受けるか悩む方が多いですが、相続税法をおすすめします。

理由は大きく次の2つです。

  • 相続税法の試験範囲は、所得税ほどボリュームが多くない
  • 法人税法と所得税法は基礎的な考え方が似通っているため、法人税法を受験しておけば所得税法の受験の重要性は下がる

試験範囲のボリュームTOP2は法人税法、所得税法であり、どちらも仕事では必要ですが、重要性は圧倒的に法人税法の方が高いです。

相続税法のかわりに所得税を受験するのももちろんアリですが、法人税法と考え方が似通っていることや、所得税法の試験ボリュームを考えると、所得税法より相続税法を受験した方が負担は軽くなります。

相続税法の受験は実務とどう違う?

相続税法の試験では、税金面に関する話を学びます。しかし、実際の相続や贈与の場面においては民法や不動産登記法などが絡んできます。

弁護士や司法書士、行政書士など他士業との連携が必要です。

すべてを学ぶ必要はありませんが、専門分野以外についても学んでいかなければいけません。

また、相続税法のなかでも、戸籍の読み方や名義預金の判定など、試験で学んでいない知識がめちゃくちゃ要求されます。

このように、どの試験科目においても言えることですが、試験と実務は別物です。

ただ、別物と言っても基礎は大事です。根本的な部分がわかっておらず、小手先の勉強だけしていてはシロウトの方と変わりませんので、相続税法の受験はしておきましょう。

ちなみに、先日発売した4士業の共著「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本」で相続について幅広く学ぶことができますので、相続の仕事を扱いたいのであれば、こちらの購入もあわせておすすめします(試験には全く役に立ちません笑)。

>>相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本

ランキング部門 ランキング
Yahooブックス くらしの法律の本 1位
Amazon 遺言・相続・贈与 2位

かなり売れていますので、勉強に、ぜひご購入ください。

相続税法は独学で合格可能?

悩んでいる人
簿記論、財務諸表論は余裕で合格できたし、相続税法は独学で勉強してみようかな?

相続税法は独学での合格は厳しいです。

簿記論や財務諸表論は日商簿記1級などの延長線のため、さほど苦労しなかったかもしれませんが、相続税法はレベルが上がります。

市販のテキストもほとんどありませんし、何より、毎年法改正があるためテキストだけだと対応できません。

いまはテキストに問題集、講義に模擬試験までついて数万円スタディングなど格安通信講座があります。

テキストや問題集を買いそろえるのと同じぐらいの値段で質の良い勉強ができるため、合格するためにこういったものも検討してください。以下の記事で、税理士試験の予備校を比較解説しています。今の予備校で受からない場合、環境を変える参考にしてください。

関連記事:税理士試験の予備校(専門学校)を比較!通信講座で合格可能?

税理士試験に落ちないために知っておくべきこと

わたしは21歳で税理士試験に3年5科目合格し、税理士になりました。

「税理士試験の合格が21歳なんて早い!羨ましい!」そう思う方もいるでしょう。

このnoteは、2年で5科目合格を目指したものの、残念ながら法人税法に不合格になった経験(=3年で5科目合格となった経験)から、税理士試験に落ちないために知っておくべきことを本音で語っています。

本音を言えば無料で公開してもよいのですが、 専門学校に対する批判なども含んでおり、あまり公にしたくない内容と なっています。

そのため、税理士試験に合格したいと本気で思っている方限定で有料公開することとしました。

本気で一発合格を目指す方だけ、こちらをクリックしてご覧いただければ、税理士試験に合格するための秘訣がわかります。

1年に1回しかない税理士試験、本気で合格したい方はぜひ今すぐご覧ください

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税理士 坂根 崇真

18歳で日商簿記1級、21歳で税理士試験に3年5科目合格した税理士。一般社団法人 全国第三者承継推進協会 理事、その他 株式会社の代表取締役。著書「相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本(出版社:秀和システム)」Yahoo!ブックスランキング1位、Amazonランキング2位。中の人は複数人で運営しています。

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