
簿記論の勉強時間を調べると、「400時間」「450時間」といった数字をよく見かけます。
しかし、これから簿記論へ挑戦する方が、400時間だけ確保して安心するのは危険です。
結論から言うと、簿記論の合格を本気で目指すなら、勉強時間は1,000時間を目安にしてください。
日商簿記1級に合格した直後で、計算スピードも十分にある方なら、結果的に1,000時間より短く済む可能性はあります。
それでも、講義、復習、個別問題、総合問題、答練、模試まで含めて確実に合格を狙うのであれば、最初から1,000時間を確保する前提で計画した方が良いです。
この記事では、3年5科目合格税理士の坂根が解説します。
わたしは18歳で日商簿記1級に合格し、税理士試験の初年度に簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目を受験して、すべて合格しました。
簿記論については、専門学校が公表する合格確実ラインを大きく超えていました。
その実体験をもとに、簿記論の勉強時間だけでなく、試験内容、難易度、合格率、日商簿記1級との違い、勉強法まで本音で解説します。
この記事で分かること
- 簿記論の勉強時間は400時間で足りるのか
- 坂根が1,000時間を推奨する理由
- 日商簿記2級・1級から簿記論までの距離
- 簿記論の試験内容、配点、出題範囲
- 簿記論と日商簿記1級・財務諸表論の違い
- 簿記論の難易度と最新の合格率
- 簿記論に合格するための勉強法
- 簿記論は独学でも合格できるのか
簿記論は年1回しか受験できません。
「もう少し調べてから」と先延ばしにしていると、十分な問題演習時間を確保できなくなります。
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簿記論の勉強時間は400時間で足りる?
簿記論の勉強時間は、多くの受験生にとって400時間では足りません。坂根の考えでは、確実に合格を狙うなら1,000時間を目安にすべきです。

TACは簿記論の標準学習時間を450時間、大原は約400時間としています。
ただ、この400~450時間という数字は、カリキュラムを順調に消化し、習った内容を効率よく身につけられた場合の標準的な目安です。
これから簿記論を勉強する方全員が、400時間で合格できるという意味ではありません。
実際に簿記論へ合格するためには、次の時間が必要です。
- 講義を受ける時間
- テキストを読み返す時間
- 個別問題を繰り返す時間
- 忘れた論点を復習する時間
- 総合問題を解く時間
- 答練や模試を受ける時間
- 間違えた問題を解き直す時間
- 2時間の時間配分を身につける時間
- 計算ミスを減らすための練習時間
講義を一度聞き、問題集を一周しただけでは合格レベルにはなりません。
400時間は「一通り勉強した状態」にはなれても、「本試験で安定して合格点を取れる状態」まで到達できない可能性があります。
坂根は簿記論の勉強時間を1,000時間と考える
わたしは以前から、簿記論は1,000時間を目安にすべきだと考えています。
もちろん、日商簿記1級に合格した直後の方や、簿記が得意な方であれば、もっと短い時間で合格できる可能性はあります。
しかし、税理士試験は年1回です。
400時間でぎりぎりの合格を目指すより、1,000時間を確保し、多少ミスをしても合格できる状態まで仕上げる方が良いでしょう。
簿記論の勉強時間に対する坂根の結論
- 予備校の400~450時間は標準学習時間
- 復習や解き直しまで考えると400時間では足りない
- 日商簿記2級からなら1,000時間を見ておく
- 簿記初心者も1,000時間以上を見ておく
- 日商簿記1級合格者も、計画上は1,000時間を確保する
- 余った時間は総合問題や他科目の勉強に回せば良い
勉強時間は少なく見積もるより多く見積もる
税理士試験の勉強時間は、少なく見積もるメリットがほとんどありません。
「400時間で受かる」と考えて400時間しか確保しなければ、直前期に実力が足りないと気付いても手遅れになる可能性があります。
一方、1,000時間を予定しておき、600時間で合格レベルへ到達できたのであれば、残りの時間は財務諸表論や税法科目に回せます。
余裕のある計画を立てて損することはありませんが、勉強時間が足りずに不合格になれば、次の試験まで約1年待つことになります。
勉強時間の長さだけで合否は決まらない
ただし、1,000時間机に座れば必ず合格できるという意味ではありません。
1,000時間のうち800時間を講義視聴やテキストの読み直しに使っても、計算問題を解く力はなかなか身につきません。
簿記論では、知識を覚えることよりも、その知識を使って素早く正確に問題を解けることが重要です。
| 勉強内容 | 時間配分の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| 講義・テキスト | 300時間 | 論点の仕組みと基本的な解き方を理解する |
| 個別問題 | 250時間 | 仕訳や計算方法を自力で再現できるようにする |
| 総合問題 | 200時間 | 複数の論点が混ざった問題に対応する |
| 答練・模試 | 150時間 | 時間配分と問題の取捨選択を身につける |
| 弱点の復習 | 100時間 | 同じ間違いを本試験で繰り返さないようにする |
| 合計 | 1,000時間 | 合格確実ラインを狙える状態まで仕上げる |
上記はあくまで一例です。
理解度や学習経験によって個別判断になりますが、後半になるほど問題演習の割合を増やすことを意識してください。
簿記論1,000時間は何カ月かかる?
週20時間勉強する場合、1,000時間を確保するには約1年かかります。仕事をしながら受験する方は、平日だけでなく、土日にもまとまった時間を確保しましょう。
| 週の勉強時間 | 1,000時間までの期間 | 想定する受験生 |
|---|---|---|
| 10時間 | 約23カ月 | 残業が多く、1日1時間前後しか確保できない方 |
| 15時間 | 約15カ月 | 平日1~2時間、休日に数時間勉強できる方 |
| 20時間 | 約12カ月 | 働きながら1年合格を目指す方 |
| 25時間 | 約9カ月 | 残業が少なく、休日も勉強できる方 |
| 30時間 | 約8カ月 | 勉強を優先できる方、学生、受験専念者 |
| 40時間 | 約6カ月 | 短期集中できる受験専念者 |
単純計算では、1日3時間勉強すれば約11カ月で1,000時間です。
ただし、体調不良、残業、繁忙期、家族の予定などによって、毎日予定どおり進むとは限りません。
最初から余裕を持って計画してください。
社会人が週20時間を確保するスケジュール
| 曜日 | 勉強時間 | 勉強内容の例 |
|---|---|---|
| 月曜日 | 2時間 | 講義と対応する個別問題 |
| 火曜日 | 2時間 | 前日の復習と個別問題 |
| 水曜日 | 2時間 | 講義と対応する個別問題 |
| 木曜日 | 2時間 | 苦手論点の解き直し |
| 金曜日 | 2時間 | 1週間分の復習 |
| 土曜日 | 5時間 | 総合問題と解き直し |
| 日曜日 | 5時間 | 答練、復習、翌週の計画 |
| 合計 | 20時間 | 約1年で1,000時間 |
通勤中に講義を聞くことはできますが、簿記論は電卓を使って問題を解かなければ実力が上がりません。
動画を流しているだけで勉強した気にならず、机に向かって手を動かす時間を必ず確保しましょう。
勉強時間より勉強開始日が重要
1日5時間勉強しようと決めても、仕事をしながら毎日続けるのは簡単ではありません。
無理な計画を立てて3週間で挫折するより、1日2時間を1年間続ける方が現実的です。
税理士試験の日程から逆算し、できるだけ早く勉強を始めましょう。
関連記事:税理士試験の勉強はいつから始める?3年5科目税理士が解説
税理士試験の簿記論はどんな試験?
簿記論は、税理士試験の会計科目であり、理論問題がなく計算問題だけで合否が決まります。一言で言えば、日商簿記検定の延長線上にある試験です。

簿記論の主な特徴は次のとおりです。
簿記論のポイント
- 税理士試験の会計学に属する科目
- 原則として税理士試験5科目合格に必要な必須科目
- 令和5年度から受験資格の制限なし
- 試験時間は2時間
- 理論問題はなく計算100点
- 出題範囲は商業簿記と工業簿記。ただし原価計算を除く
- 問題量が多く、すべてを解き切るのは難しい
- 坂根の体感では日商簿記1級より少し難しい
- 税法科目と比べれば、合格しやすい部類
| 項目 | 簿記論の概要 |
|---|---|
| 試験時間 | 2時間 |
| 配点 | 計算100点 |
| 理論問題 | なし |
| 合格基準 | 満点の60% |
| 出題範囲 | 複式簿記、記帳・計算、帳簿組織、商業簿記、工業簿記。ただし原価計算を除く |
| 受験資格 | 制限なし |
| 試験の特徴 | 問題量が多く、計算力、正確性、問題の取捨選択が必要 |
簿記論は税理士試験の必須科目
税理士試験は、会計学2科目と税法3科目の合計5科目に合格する試験です。
会計学に属する科目は、簿記論と財務諸表論の2科目となっています。
そのため、試験合格によって税理士資格を目指す場合、原則として簿記論と財務諸表論の両方に合格する必要があります。
なお、大学院などによる科目免除を利用する場合は個別判断になります。
簿記論は受験資格なしで受験できる
以前は、税理士試験を受験するために、学歴、職歴、資格などの受験資格が必要でした。
代表的な受験資格の一つが、日商簿記1級の合格です。
しかし、令和5年度の税理士試験から、簿記論と財務諸表論については受験資格の制限が撤廃されました。
現在は、年齢、学歴、職歴にかかわらず、誰でも簿記論を受験できます。
日商簿記1級に合格しなければ簿記論を受けられないという情報は古いので注意してください。
ただし、所得税法、法人税法、相続税法などの税法科目を受験する場合は、受験資格が必要になる可能性があります。
税理士試験全体の受験資格については、次の記事をご覧ください。
簿記論の出題範囲は商業簿記と工業簿記
簿記論の出題範囲は、国税庁によって次のように定められています。
簿記論の出題範囲
複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く。
要するに、取引を仕訳し、帳簿へ記録し、最終的に試算表や財務諸表を作成する能力が問われます。
工業簿記も範囲に含まれますが、日商簿記1級で出題される原価計算は、簿記論の試験範囲から除かれています。
簿記論は3問構成で計算100点
簿記論は、近年、次のような3問構成で出題されるのが基本です。
| 問題 | 配点の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 第一問 | 25点 | 個別論点を中心とした計算問題 |
| 第二問 | 25点 | 個別論点を中心とした計算問題 |
| 第三問 | 50点 | 決算整理などを含む総合問題 |
| 合計 | 100点 | 試験時間2時間 |
年によって出題内容は変わりますが、第一問・第二問が個別問題、第三問が総合問題になる傾向があります。
理論問題はありません。
ただし、問題文の指示を理解し、正しい会計処理を選ぶ必要があるため、単純な計算だけができれば良いわけではありません。
問題量が多く、すべてを解き切るのは難しい
簿記論の特徴は、とにかく問題量が多いことです。
試験時間は2時間ありますが、すべての問題を最初から最後まで丁寧に解いていたら、時間が足りなくなる可能性があります。
合格するためには、次の判断が必要です。
- すぐに解ける問題
- 少し考えれば解ける問題
- 時間がかかる問題
- 他の受験生も解けない難問
- 後回しにすべき問題
簿記論は、分からない問題を解く能力だけでなく、分からない問題を捨てる能力も問われる試験です。
簿記論の配点は計算100点、60点以上で合格
簿記論は計算100点満点で、国税庁が公表する合格基準は満点の60%です。ただし、最初から60点だけを狙う勉強はおすすめしません。
税理士試験では、毎年の問題の難易度が一定ではありません。
簡単な年もあれば、問題量が多く、受験生の多くが解けない年もあります。
また、採点方法の細かな内容は公表されていません。
そのため、「本試験で60点分だけ正解すれば良い」と考えるより、答練や模試では余裕を持って合格ラインを超える状態を目指しましょう。
ボーダーラインと合格確実ライン
試験後には、大原やTACなどの専門学校が解答速報を公表します。
解答速報では、一般的に次のような目安が示されます。
解答速報で示される目安
- ボーダーライン:合格の可能性があると考えられる点数
- 合格確実ライン:合格できる可能性がかなり高いと考えられる点数
ボーダーラインをぎりぎり超える状態では、専門学校ごとの配点や自己採点の誤差によって、合格発表まで安心できません。
できれば、答練の段階から合格確実ラインを目指してください。
坂根は合格確実ラインを大きく超えていた
わたしは簿記論の本試験で、専門学校が公表した合格確実ラインを大きく超えていました。
おそらく5~10カ所ほどミスをしても、合格できる可能性があったと思います。
一方、法人税法や消費税法などの税法科目では、数個のミスが合否を分けることがあります。
お伝えしたいのは、簿記論はきちんと勉強すれば、多少のミスがあっても合格できるところまで仕上げられる科目だということです。
400時間でボーダーラインを狙うより、1,000時間勉強して合格確実ラインを狙いましょう。
簿記論と日商簿記1級の違いは?
坂根の体感では、簿記論は日商簿記1級より少し難しい試験です。試験範囲は重なりますが、出題内容、問題量、求められる判断力が異なります。
| 比較項目 | 税理士試験の簿記論 | 日商簿記1級 |
|---|---|---|
| 試験の実施者 | 国税審議会 | 日本商工会議所 |
| 主な分野 | 商業簿記、工業簿記 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 |
| 原価計算 | 出題範囲外 | 出題範囲 |
| 理論問題 | 基本的に計算問題のみ | 会計学などで理論的な理解も問われる |
| 問題量 | 非常に多い | 広い範囲から出題される |
| 重要な能力 | 計算速度、正確性、問題の取捨選択 | 幅広い会計知識と計算力 |
| 試験機会 | 原則として年1回 | 年に複数回実施されることがある |
日商簿記1級は、大企業の会計で使われる内容も広く学びます。
一方、簿記論は商業簿記の細かな論点や、決算整理を含む総合問題への対応力が強く求められます。
以前の記事では、「日商簿記1級は大企業向け、簿記論は税理士の顧客となる中小企業向け」と説明しました。
厳密にすべてを分けられるものではありませんが、試験範囲の重心をつかむ説明としては、今も大きく外れていないと考えています。
日商簿記1級に合格していても対策は必要
日商簿記1級に合格していれば、簿記論の勉強で有利になります。
ただし、日商簿記1級に合格したからといって、簿記論も自動的に合格できるわけではありません。
試験の出題形式と時間配分が異なるため、簿記論用の総合問題や答練を繰り返す必要があります。
日商簿記1級合格者であっても、1,000時間を確保する前提で勉強を始め、早く仕上がったら他科目へ時間を回すのが安全です。
簿記2級から簿記論まではどのくらい?
日商簿記2級から簿記論へ進む場合も、1,000時間を目安にしてください。簿記2級の知識は役立ちますが、簿記論との間にはかなり大きな差があります。
以前の記事では、日商簿記2級と1級では、体感でレベルが10倍くらい違うと書きました。
かなり強い表現ですが、それぐらい「簿記2級に合格したから、簿記論も少し勉強すれば受かる」と考えるのは危険だということです。
| 比較項目 | 日商簿記2級 | 税理士試験の簿記論 |
|---|---|---|
| 知識量 | 商業簿記・工業簿記の基本 | 幅広く細かな商業簿記の知識 |
| 計算速度 | 基本問題を処理できる速度 | 膨大な問題から得点箇所を素早く処理する速度 |
| 総合問題 | 基本的な論点が中心 | 複数論点が混ざり、問題文も複雑 |
| 問題の取捨選択 | 重要性は比較的低い | 合否を分ける重要な能力 |
| 受験機会 | 統一試験やネット試験がある | 原則として年1回 |
簿記2級から直接、簿記論へ進んでも良い
現在は簿記論の受験資格が撤廃されているため、日商簿記2級合格後に、日商簿記1級を受けずに簿記論へ進むこともできます。
最終目的が税理士試験の合格であれば、簿記2級から直接、簿記論へ進むのも一つの方法です。
ただし、日商簿記1級の勉強経験は、簿記論や財務諸表論でも役立ちます。
また、日商簿記1級は、税法科目の受験資格を満たすルートの一つでもあります。
どちらへ進むかは、現在の受験資格、年齢、勉強時間、最終的な科目選択によって個別判断になります。
簿記講座を比較したい方は、次の記事もご覧ください。
関連記事:コスパ最高で安い簿記2級通信講座のおすすめは?税理士が解説
簿記論の合格率は約10~20%
簿記論の合格率は年度によって大きく変わりますが、おおむね10~20%台で推移しています。令和7年度の合格率は11.1%でした。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 18,466人 | 2,058人 | 11.1% |
| 令和6年度 | 17,711人 | 3,076人 | 17.4% |
| 令和5年度 | 16,093人 | 2,794人 | 17.4% |
| 令和4年度 | 12,888人 | 2,965人 | 23.0% |
| 令和3年度 | 11,166人 | 1,841人 | 16.5% |
出典:国税庁「税理士試験結果」
令和4年度は23.0%でしたが、令和7年度は11.1%です。
合格率が倍近く異なることからも分かるとおり、年度によって問題の難易度や結果は大きく変わります。
そのため、「最近は合格率が高いから簡単」「次の試験も合格率が高いだろう」と考えるのは危険です。
合格率を予想するのではなく、どの年度でも他の受験生が正解する基本問題を落とさない状態まで仕上げましょう。
受験資格撤廃後は受験者数が増えている
令和5年度から受験資格が撤廃されたこともあり、簿記論の受験者数は増えています。
簿記論は税理士試験の入り口として受験されることが多く、学生、会社員、税理士事務所職員など、幅広い受験生が集まります。
以前の記事では、簿記論の受験者層は他の税法科目ほど高くないと書きました。
現在も、法人税法や所得税法など、会計科目合格後に受験する方が多い税法科目と比べれば、簿記論は初受験者や記念受験者を含みやすい科目だと考えています。
ただし、受験資格がないから簡単に合格できるわけではありません。
合格率は10~20%台ですので、十分な準備が必要です。
簿記論の難易度は税理士試験の中では低い
簿記論の難易度は、税理士試験の中では低い方だと考えています。理論暗記がなく、問題演習を繰り返せば、勉強の成果が得点へ反映されやすいからです。
このように書くと、「合格率11.1%なのに簡単なわけがない」と思う方もいるでしょう。
もちろん、何も勉強しなくても受かるという意味ではありません。
簿記論は、税理士試験の中で比較した場合に、努力が結果につながりやすいという意味です。
| 簿記論が比較的合格しやすい理由 | 内容 |
|---|---|
| 理論暗記がない | 税法科目のように大量の条文や理論を暗記する必要がない |
| 反復練習が得点につながる | 問題を繰り返すほど、計算速度と正確性が上がりやすい |
| 合格確実ラインを狙える | 十分に仕上げれば、多少のミスがあっても合格できる状態を作りやすい |
| 勉強内容が明確 | テキスト、個別問題、総合問題、答練という順番で実力を上げやすい |
簿記論は簡単
以前の記事では、見出しをそのまま「簿記論は簡単」としていました。
今も、この主張自体は変わっていません。
簿記論は、1,000時間きちんと勉強し、総合問題と答練を繰り返せば、頑張った人が合格できる試験です。
本試験を受けたあとに「簿記論は簡単だった」と思えるぐらいまで仕上げてください。
その状態であれば、上位層に入り、余裕を持って合格できる可能性が高まります。
反対に、簿記論で何年も苦戦しているのであれば、「自分には税理士試験が向いていない」と考える前に、勉強時間と勉強方法を見直すべきです。
簿記論で通用しなかった勉強方法をそのまま税法科目で続けると、さらに苦戦する可能性があります。
簿記論で苦戦したら勉強方法を見直す
簿記論で受かる気がしない方は、才能よりも次の点を確認してください。
- 勉強時間が400時間程度で止まっていないか
- 講義を聞くだけになっていないか
- 個別問題ばかりで総合問題を避けていないか
- 難しい問題に時間を使いすぎていないか
- 同じ計算ミスを繰り返していないか
- 答練後の解き直しをしているか
- 教材を増やしすぎていないか
関連記事:【税理士試験】受からない人の特徴7選を3年5科目税理士が解説
簿記論と財務諸表論の違いは?
簿記論は計算問題のみ、財務諸表論は計算と理論が出題される点が大きな違いです。計算分野は重複が多いため、同時に勉強する方も多くいます。
| 比較項目 | 簿記論 | 財務諸表論 |
|---|---|---|
| 理論問題 | なし | あり |
| 計算問題 | 100点 | 計算問題と理論問題が出題される |
| 計算の難易度 | 高い | 簿記論より低い傾向 |
| 主に問われる力 | 計算力、処理速度、取捨選択 | 計算力、会計基準の理解、理論暗記 |
| 共通する内容 | 仕訳、決算整理、財務諸表作成に関する計算分野 | |
財務諸表論では、会計基準や会社法、会社計算規則などに関する理論問題も出題されます。
一方、簿記論は計算問題だけです。
どちらが簡単というわけではなく、計算が得意な方は簿記論、暗記や文章を書くことが得意な方は財務諸表論の方が取り組みやすい可能性があります。
簿記論と財務諸表論は同時に受験すべき?
勉強時間を確保できるのであれば、簿記論と財務諸表論は同時に受験することをおすすめします。
計算問題の学習範囲が重なっており、一緒に勉強することで理解が深まりやすいからです。
わたしも初年度に、簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目を同時に受験し、すべて合格しました。
ただし、この記事は簿記論全般を解説する記事ですので、財務諸表論の勉強時間や詳しい勉強法は別の記事で解説しています。
関連記事:【税理士試験】財務諸表論の合格に必要な勉強時間は1000時間
科目選択や受験する順番に迷っている方は、次の記事をご覧ください。
関連記事:【税理士試験】おすすめの科目選択を3年5科目税理士が解説
簿記論に合格するための勉強法
簿記論に合格するためには、インプットよりも問題演習を重視してください。テキストを何度も読むより、実際に電卓を使って問題を解く方が得点力につながります。
講義を聞いた当日に問題を解く
講義を聞いた直後は、内容を理解できたように感じます。
しかし、自分の力だけで問題を解けなければ、本当に理解したことにはなりません。
講義を受けた当日、遅くても翌日までに、対応する個別問題を解いてください。
問題を解けなかった場合は、すぐに講義を最初から見直すのではなく、解答解説を確認して、どこで分からなくなったのかを特定しましょう。
個別問題を繰り返す
簿記論では、基本的な仕訳や計算方法を迷わず処理できることが重要です。
基本問題を解くたびに考え込んでいると、2時間では間に合いません。
同じ問題を繰り返し、問題を見た瞬間に解き方が浮かぶ状態まで仕上げましょう。
一度正解しただけでは不十分です。
数日後、1週間後、1カ月後にも解き直し、忘れていないか確認してください。
総合問題を後回しにしない
個別問題は解けるのに、総合問題になると点数が取れない方は多いです。
総合問題では、複数の論点が混ざり、問題文も長くなります。
また、一つの計算ミスが後の数字に影響する場合もあります。
個別問題が一通り終わったら、早めに総合問題へ取り組みましょう。
すべての問題を解こうとしない
簿記論では、すべての問題を解く必要はありません。
難しい問題に20分使って正解するより、基本問題を5問確実に取った方が合格へ近づきます。
答練や模試では、次の順番を意識してください。
- 問題全体へ目を通す
- すぐ解ける問題から着手する
- 時間がかかりそうな問題は後回しにする
- 他の受験生も解けない難問は捨てる
- 最後に計算ミスや転記ミスを確認する
難問を解けることより、基本問題を落とさないことの方が重要です。
間違えた理由まで記録する
問題を間違えたら、正解を確認するだけで終わらせないでください。
間違えた理由によって、次に行うべき勉強が異なります。
| 間違えた理由 | 改善方法 |
|---|---|
| 論点を理解していない | テキストや講義へ戻り、考え方を確認する |
| 知識を忘れていた | 翌日と1週間後に同じ問題を解き直す |
| 問題文を読み落とした | 重要な条件へ印を付けるルールを決める |
| 電卓を打ち間違えた | 電卓操作と途中計算の書き方を固定する |
| 時間が足りなかった | 問題を飛ばす基準と大問ごとの時間を決める |
| 転記を間違えた | 答案用紙へ転記する順番を統一する |
教材を増やしすぎない
新しい教材を買うと、勉強した気になります。
しかし、5冊の問題集を一度ずつ解くより、1冊の問題集を5回解いた方が実力は定着しやすいです。
まずは通信講座や予備校の教材を繰り返してください。
教材を追加するのは、手元の教材をほぼ迷わず解けるようになってからで十分です。
過去問は実力確認に使う
過去問は、出題傾向や問題量を把握するために役立ちます。
ただし、簿記論は過去問だけを暗記しても合格できません。
同じ論点でも、出題形式や資料の与え方が変わるからです。
過去問は次の目的で使いましょう。
- 2時間でどの程度解けるか確認する
- 問題を解く順番を試す
- 捨てるべき問題を判断する
- 本試験特有の問題文に慣れる
- 弱い論点を発見する
電卓操作を速くする
簿記論では、電卓を使う時間が非常に長くなります。
知識があっても、電卓操作が遅ければ試験時間内に解き切れません。
毎回同じ指で入力し、メモリー機能やキー操作にも慣れておきましょう。
税理士試験で使う電卓については、次の記事で解説しています。
関連記事:税理士試験におすすめの電卓を3年5科目税理士が解説
直前期は答練と解き直しを優先する
直前期に新しい論点や教材へ手を広げるのはおすすめしません。
答練や模試で間違えた問題を解き直し、基本問題の失点を減らしてください。
| 時期 | 中心となる勉強 | 目標 |
|---|---|---|
| 学習初期 | 講義、テキスト、個別問題 | 基本的な仕訳と計算方法を理解する |
| 学習中期 | 個別問題の反復、総合問題 | 複数の論点を自力で処理できるようにする |
| 直前期前半 | 答練、模試、過去問 | 2時間の時間配分と取捨選択を身につける |
| 直前期後半 | 答練の解き直し、弱点補強 | 基本問題の失点を減らす |
税理士試験全体の勉強方法や、わたしが21歳で5科目合格するまでの勉強時間は、次の記事で解説しています。
関連記事:税理士試験に21歳で短期5科目合格した勉強方法や勉強時間を大公開
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簿記論は独学で合格できる?
簿記論は独学でも合格できないことはありません。ただし、短期合格を目指すなら、通信講座や予備校を利用した方が効率的です。
簿記論は計算問題だけなので、税法科目と比べれば独学しやすい科目です。
市販のテキスト、問題集、過去問、模試を使って合格する方もいます。
しかし、独学では次のことを自分で管理しなければなりません。
- 使用する教材を選ぶ
- 学習する順番を決める
- 試験日から逆算して計画を立てる
- 分からない論点を自分で調べる
- 答練や模試を別途用意する
- 出題傾向や試験情報を集める
- 1年間モチベーションを維持する
| 比較項目 | 独学 | 通信講座 |
|---|---|---|
| 費用 | 教材費だけなら抑えやすい | 通学講座より費用を抑えやすい |
| 講義 | 基本的になし | 分からない論点を動画で確認できる |
| 学習順序 | 自分で決める | カリキュラムに沿って進められる |
| 問題演習 | 自分で教材を選ぶ | 講義に対応した問題を解ける |
| 答練・模試 | 別途用意する必要がある | 講座に含まれる場合がある |
| 情報収集 | 自分で行う | 試験情報が提供される |
| 向いている人 | 簿記知識があり、自己管理が得意な人 | 働きながら効率よく合格したい人 |
独学は本当に安いのか
独学は受講料がかからないため、一見すると安く感じます。
しかし、テキスト、問題集、総合問題集、過去問題集、答練、模試をそれぞれ購入すると、ある程度の費用がかかります。
さらに、分からない論点を調べる時間や、教材選びに迷う時間も必要です。
税理士試験は年1回です。
独学で遠回りして不合格になれば、教材費以上に大きな時間を失います。
テキストを買うのと大きく変わらない金額で利用できる通信講座があるなら、独学にこだわる必要はないと考えています。
特に、日商簿記2級から簿記論へ進む方は、通信講座を利用した方が勉強の順番で迷いにくくなります。
独学用のテキストを確認したい方は、次の記事をご覧ください。
関連記事:税理士試験の独学テキストおすすめ|3年5科目税理士が解説
簿記論の勉強時間に関するFAQ
簿記論の勉強時間や難易度について、受験生からよく聞かれる質問へ回答します。勉強時間には個人差がありますが、坂根は1,000時間を目安にすることをおすすめします。
簿記論は400時間で合格できますか?
日商簿記1級に合格した直後で、簿記が得意な方なら、400時間程度で合格できる可能性はあります。
ただし、多くの受験生にとって400時間では足りません。
これから学習計画を作るなら、1,000時間を目安にしてください。
簿記論は何時間勉強すれば合格できますか?
坂根の考えでは1,000時間です。
予備校では400~450時間を標準学習時間としている場合がありますが、講義、復習、総合問題、答練、解き直しまで含めて確実に合格を狙うなら、1,000時間を確保するのが安全です。
日商簿記2級から簿記論までは何時間かかりますか?
1,000時間を見ておきましょう。
日商簿記2級の知識は役立ちますが、簿記論では細かな商業簿記、総合問題、計算速度、問題の取捨選択まで身につける必要があります。
日商簿記1級合格者でも1,000時間必要ですか?
日商簿記1級に合格した直後であれば、1,000時間より短く合格レベルへ到達できる可能性があります。
それでも、計画上は1,000時間を確保してください。
早く仕上がった場合は、財務諸表論や税法科目の勉強へ時間を回せます。
簿記論は1日何時間勉強すべきですか?
働きながら1年合格を目指すなら、平日2時間、休日5時間ずつで週20時間程度が目安です。
仕事の繁忙期、受験科目数、現在の簿記知識によって個別判断になります。
簿記論は半年で合格できますか?
半年で1,000時間を確保するには、週38時間前後の勉強が必要です。
日商簿記1級レベルの知識があり、受験勉強へ専念できる方なら可能性がありますが、働きながら日商簿記2級から始める場合はかなり厳しい計画です。
簿記初心者でも簿記論を受験できますか?
受験できます。
令和5年度から簿記論の受験資格は撤廃されているため、年齢、学歴、職歴にかかわらず受験可能です。
ただし、借方・貸方などの基礎から勉強する場合は、1,000時間を超える可能性があります。
簿記論と日商簿記1級はどちらが難しいですか?
坂根の体感では、簿記論の方が少し難しいです。
ただし、日商簿記1級は出題範囲が広く、原価計算や会計学も含まれるため、得意分野によって感じ方は異なります。
簿記論の合格率は何%ですか?
令和7年度の合格率は11.1%です。
年度によって10~20%台で大きく変わるため、合格率を予想するのではなく、基本問題を確実に取れる状態まで仕上げましょう。
簿記論は独学で合格できますか?
独学でも合格できる可能性はあります。
ただし、教材選び、学習計画、答練、模試、情報収集をすべて自分で行う必要があります。
短期合格を優先するなら、通信講座や予備校を利用した方が効率的です。
簿記論に受かる気がしないときはどうすれば良いですか?
勉強時間を増やす前に、勉強内容を確認してください。
講義を聞くだけになっていないか、総合問題を避けていないか、同じミスを繰り返していないか、難問に時間を使いすぎていないかを見直しましょう。
まとめ:簿記論は1,000時間を目安にしよう
簿記論の勉強時間は、400時間では足りない可能性が高いです。確実に合格を狙うなら、1,000時間を目安にしてください。
専門学校が公表する400~450時間は、あくまで標準的な学習時間です。
実際には、講義、復習、個別問題、総合問題、答練、模試、解き直しまで行う必要があります。
この記事のまとめ
- 簿記論の勉強時間は1,000時間を目安にする
- 400~450時間は予備校が示す標準学習時間
- 簿記論は計算100点、試験時間2時間
- 令和5年度から受験資格は撤廃されている
- 令和7年度の合格率は11.1%
- 坂根の体感では日商簿記1級より少し難しい
- 税法科目と比べれば合格しやすい部類
- 講義よりも問題演習を重視する
- 難問より基本問題を確実に取る
- 独学は可能だが、通信講座の方が効率的
簿記論は、きちんと勉強すれば合格できる科目です。
しかし、税理士試験は年1回しかありません。
400時間で足りるか悩み続けるより、1,000時間を目標にして、今日から勉強を始めましょう。
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税理士試験に落ちないために知っておくべきこと
税理士試験は年1回しかないため、間違った勉強方法を1年間続けることが最大のリスクです。
「21歳で5科目合格なんて早い。順調に合格したんだろう」と思う方もいるでしょう。
しかし、わたしは2年で5科目合格を目指したものの、法人税法に不合格となり、3年で5科目合格しました。
このnoteでは、その不合格経験を踏まえ、税理士試験に落ちないために知っておくべきことを本音でまとめています。
専門学校に対する批判なども含んでおり、あまり公にしたくない内容のため、本気で税理士試験に合格したい方向けに有料で公開しています。
本気で一発合格を目指す方は、勉強を始める前にご覧ください。
1年に1回しかない税理士試験で後悔しないために、合格者の成功談だけでなく、不合格になった原因も知っておきましょう。
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